第5回サイエンスカフェ@ふくおかで「ミクロの世界」を体験!!

2012年12月、第5回サイエンスカフェ@ふくおか「宇宙の謎に迫る!」がギルドカフェコスタにて開催されました。この日のテーマは「ミクロの不思議な世界~量子力学の奇妙な冒険~」。
司会は吉岡瑞樹博士(九州大学理学研究院物理学部門素粒子実験研究室)、ナビゲータは奥村健一博士(九州大学理学研究院物理学部門素粒子理論研究室)です。
今回参加者は約25名、高校生から社会人まで幅広く参加され、みなさんの興味の高さが伺えます。
量子力学の世界(以下、ミクロの世界)と僕らがいる世界(以下、日常)の違いからこの会は始まりました。僕らが目の前で起きないことが小さい世界では起きたりします。日常では起きない壁をすり抜けたり二つの扉を同時に通ったりする、それがミクロの世界。
人間を基準として、髪の毛は0.1mm、細胞は0.01mm、集積回路は0.001mm、DNAは0.000001mm、水素原子は0.0000001mmと・・・、ドラえもんのスモールライトで小さくなった気持ちで、話を聞いていました。日常で目にしたり感じたりする事象(温度や光の吸収、電気、磁気など)は原子と光で成り立っているそうです。そして光はいったい何者かの話に移っていきます。
「光は波なのか粒子なのか」について、17~18世紀ではホイヘンスやフックの波動説、ニュートンの粒子説などを経て、19世紀、産業革命の頃、干渉の発見により物資中の光の速度の測定が始まり議論が活発になっていきます。光の屈折の実験で不思議な事例。水の中に入る前と後を比較すると、波の場合は波長が縮み速度が遅くなり、粒子の場合は速度は変わらず進み速度は早くなります。
では「光は波なのか粒子なのか」・・・実はこの他に光電効果や電子線回析像、二重スリット実験など、多くの事例をお聞きし、専門家ではない僕たちはミクロの世界で迷宮入りしそうです。後に調べると、「光は波なのか粒子なのか」が解決されたのが20世紀入ってから、「光は波と粒子の両方の性質を併せ持つ量子」(二重性)ということが分かり現在に至ります。その後、光だけでなく、すべての物質やエネルギーは粒子と波動の二重性を持つという考えで解釈が試みられ量子力学の理論が立てられているようです。目に見えないミクロの世界での議論が数世紀に渡り行われていた歴史に驚きです。
この後もトンネル効果やトンネル効果が活躍しているフラッシュメモリなど、話題に事欠くことも無くミクロの世界が続きます。
個人的に興味があったのは原子核のα崩壊のお話。地球の核にも同じように化学反応により原子核が崩壊した後、熱(地熱)で保たれているので、地球は冷めない。確かに。
床暖房や炭火焼きの焼肉屋で出てくる七厘も同じ事かと、身の回りにあることからも気づくことが出来ました。
まとめとして、ミクロの世界に潜む光や原子などの仮定を作り、証明するための実験をすることで、目に見えないものが発見でき、さらに調べることで、日常にある物事が証明できます。理論自体遠い過去に作られその実証が長年の研究を経て、2012年「ヒッグス粒子らしきもの」として世界中のニュースとして発表されました。実証を確定させるための研究が進む中で、次の発見に向けまた新たな理論がこれから生まれてくるかもしれません。そして生まれてくる理論は案外身近にある不思議な現象から生まれてくるかもしれません。
「ヒッグス粒子らしきもの」の次の素粒子を見つけるための施設「次世代線形加速器|国際リニアコライダー(以下ILC)」の候補が全世界で5か所あり、その候補地の一つとして、
福岡県と佐賀県にまたがる”背振山地”です。第5回目を迎えた「サイエンスカフェ@ふくおか」の活動は、ILCの周知活動の一環として、地域の皆様にもっと知っていただこうと思い、毎月福岡で講演会を行っていらっしゃいます。
この会は理科が苦手な方にもご理解頂けるよう質問しやすい雰囲気で、理科の楽しさを伝えてくれるのが特徴です。中学生や高校生からも参加者が増えることを期待します。
サイエンスカフェ@ふくおか「宇宙の謎に迫る!」のこれまでの活動の様子は以下URLよりご参照ください。サイエンスカフェ@ふくおか
【あとがき】
ミクロの世界は見えないから想像できません。でもミクロの世界の事例を知ることで想像できます。実は妄想や思想かもしれません。知らないことを知らないままにするよりも、例えばこのような会に参加してミクロの世界に触れることで日常との違いに気づき、その気づきから想像して日常を見渡すことで、もっと楽しい世の中を作ることが出来ると思いました。この会を違う側面から視ると理科(量子力学)を妄想し理論立てることはひとつの哲学を作ることであり、それは国語じゃないか。そんなことにも気づくことが出来ました。
TAGS: ILC・不思議・佐賀・光・原子・国際リニアコライダー・最先端・物理学・理科・福岡・科学・素粒子・背振・量子力学 | 2012年12月25日