動物園の楽しみ方 ~旭山動物園~

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動物園に行くと好きな動物を見つけては未だに夢中でシャッターを切ってしまいます。子どもの頃、当時流行っていた使い捨てカメラ(24枚撮り)を現像すると、全て猿だった思い出があります。さて、今回は子どもの頃は気づかなかった動物園の楽しみ方のお話です。

 

2012年2月、北海道は雪まつりが開催し観光客も多く道路は人と雪であふれていました。北海道旭川市にある日本最北の動物園「旭川市旭山動物園」に伺った2012年2月7日は大雪。こんな日に長靴など持ち合わせているはずもなく、スニーカーとズボンがビチョビチョに濡れて歩いたことも今となっては思い出です。

 

旭山動物園は動物の「行動展示」が評価され日本国内外より数多くの観光客が訪れる人気の施設です。旭山動物園は国内で初めて飼育下での自然繁殖に成功した動物にホッキョクグマ、アムールヒョウ、コノハズクなどがあります。さて、早速園内の特徴を見ていきましょう。

 
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入口ゲートをくぐりまず目につくのは園内のみなさんが手書きで書かれた表示。動物を見る前にしっかり見ます。某遊園地やアミューズメントパークにも遊具の稼働時間や待ち時間が表示されているかと思いますが、旭山動物園も同じです。ここに書かれた情報をたよりに各動物のコーナーに行くことで、動物の生態系・行動を観察することが出来ます。



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実はこれまで記載していたことがその横に表示されてます。ここで驚きなのは約8割の動物が動物園生まれです。絶滅のおそれがある種であったり傷病で保護された種などを引き取り飼育されてます。動物園本来の役目は野生動物を自然に近い状態で飼育することで動物も動物らしく生きることが出来るのです。看板の下部に記載の「共に生きていこうという気持ち」。グッとくる一言。おそらくどの動物園・水族館なども同じ気持ちで運営されているはずです。



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最初はやっぱりみんな大好きペンギン館。先程の看板に記載のあった「ペンギンのお散歩」。ペンギンの肥満解消がお散歩が始まるきっかけでした。人間と同じでペンギンも寒くなると集まってじっとする習性があります。写真の中央に見れる茶色のボス。これはボスではなく、なんと「キングペンギンのひな」。羽の生え変わり換羽(かんう)を経て綺麗なペンギンに変身します。



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このペンギン館内で発見した看板や展示にも注目。ここも手作り。ぬくもりを感じます。この看板の他にもペンギンの問題や卵のレプリカ、名前の由来、骨格標本など数多くの生態系の紹介がされています。



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大好きな標本はペンギンの下半身。ペンギンはピョコピョコ歩く可愛らしい姿も特徴です。なんであんな歩き方するのか長年不思議でしたが、太っているだけでなく、その秘密は膝があるからあのような歩き方になるのです。この他に尾の骨もしっかりありますし、膝の他にかかとも指もしっかりあります。ペンギンによって育て方もことなりますが、キングペンギンの場合、膝からかかとまでの空いている空間に卵を入れ温めて羽化していきます。ちょうど良いスペースですね。こんなことにも気づくことが出来ます。とってもびっくり。こんな驚きがちりばめられてます。



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ほかにも驚きが!見逃しがちな表示の一つ「動物の喪中」です。普通は表示しないイメージがあります。よくよく考えると、動物の約8割は動物園で生まれてますから、もちろん亡くなることもあります。一生き物として扱う動物園であり、「いのち」や「生きること」を表示することで大切さを考えされてくれます。ここにも動物園側の配慮が感じられます。



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次に迫力満点の陸上最大の肉食獣「ホッキョクグマ」。雪の中でも存在感は群を抜きます。実は見た目とは違い繊細な部分も多くあります。例えば足。人間と同じく地面に足をつけて歩きます。足の裏には氷の上で滑らないように、そして冷たくならないように毛が生えています。



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こんな情報もちゃんと表示されています。驚きなのは皮ふは黒色、上毛(じょうもう)と下毛(かもう)に分かれ、上毛はストロー状の半透明で中空になっており、下毛では熱を逃がさないことで体温を維持しています。これも驚きです。この他にも食べ物やこども、鼻耳目などの表示も有ります。ここに記載がありませんが、赤ちゃんの肌はピンクで、大人になるにつれ、皮ふは黒くなり毛が生えていきます。



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ホッキョクグマ館の外に表示されている看板「ホッキョクグマの将来を創る!」にも注目です。(内容は大人向け)飼育頭数が減っており希少種になりつつあるということで全国で繁殖プロジェクトが進んでいます。(ホッキョクグマ以外もこのような動物はあります)多くの方の活動により動物園で楽しく動物が見れるんですね。そして活動を伝えることも大切だと感じました。


この他にもアザラシやライオン、猿など、たくさんの動物が園内にいます。おばあちゃんの豆知識のように大小さまざまな看板が表示されどれも目からうろこです。一度行って見ることをオススメします。一部ではありますが、理科ファンfacebookページのアルバム

にも掲載しています。


【まとめ】
動物園とは、生きた動物を飼育・研究し、一般に公開する施設を指し、法令上博物館と同じ扱いです。水中の生物は水族館、特殊な施設ではサファリパークや鳥類園などがあります。最近は教育や研究が中心の施設が多く、生態系が多様化する中で現在いる種の保存は重要なミッションの一つです。
しかし、施設の経営母体が都道府県や市町村といった地方自治体であり、近年では自治体の財政難から指定管理者制度を導入する施設も多く見受けられます。このような施設も民営化が進んでいるようです。このような施設は図鑑と同じで、見て気づくことがたくさんあります。身近にある施設に行ってみるのも何かのきっかけになるかもしれません。
全国153カ所の動物園水族館の情報は日本動物園水族館協会よりご参照頂くことが出来ます。どんな生き物が飼育されているのか調べることが出来ます。施設に行く前に一度調べてみると、グッと楽しさが広がりますね。

【まとめ】
大人になると行く機会が少なくなった動物園や水族館。生き物だけ見て満足していたこどもの頃を振り返りつつ、もっと楽しみ方を見つけることが動物園の活性にもなり、その先にいる動物たちの種保存につながると思います。出張した先にある動物園や水族館、科学館などできる限り見ることで、人として伸びしろを増やし成長させてくれる気がしてます。

 


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