先端リアリティメディアに触れる!

「リアリティメディア」ってなかなか聞きなれない言葉ですね。「メディア」はいかがでしょか。「メディア」というとテレビやラジオ、CD、DVDなどの媒体をイメージします。「リアリティメディア」とは「技術を使って現実で五感を体験するメディア」と言いましょうか。AR(拡張現実)やVR(仮装現実)などの仮想と現実を融合した「複合現実感」もリアリティメディアです。インターネット、スマートフォン、タブレットの普及により、これからの人間とコンピュータのコミュニケーション方法として注目されるメディアです。今回は、慶應義塾大学メディアデザイン研究科(以下KMD)の小泉さんのご配慮により、KMD Reality Media Projectオープンハウス(以下オープンハウス)に参加しました。
このオープンハウスは昨年に続き2回目。大学内問わずリアリティメディアを開発している企業や研究機関が参加し、研究作品を通じて新しい活用法や広報などのアイディアを出し合う場です。作品ひとつひとつも大変考えられたメディアですが、先端研究者の皆さんと一緒にもっと良いアイディアが飛び交う素敵な空間です。もっと面白いのはKMDだけでなく他大学からも作品を募集し「道場破り」というアウェー感を楽しんだこと。そしてボツ作品も展示しアイディアを募集したこと。アイディアや作品を無駄にしない配慮がありました。
KMDの稲見教授のご挨拶でオープンハウスが始まります。稲見教授とは記憶に新しいところでは光学迷彩技術を用いた透明プリウスの開発やニコニコ学会βの出演など、先端メディアデザインで活躍される研究者。数々の賞を受賞し世界的にも活躍されてます。稲見研究室では、バーチャルリアリティ、ロボット工学を背景とし、拡張現実感(AR)や強化人間(AH)など、コンピュータや最先端の技術を誰もが自在に利用するための「自在化技術」の研究をされていらっしゃいます。百聞は一見にしかず。詳しくは稲見研究室をご参照くださいー。このサイトの中に受賞歴や研究科所属の方の作品も多数見れます。
「Reality Jockey」。ヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)をかけると前方の映像が映っておりスイッチを入れると前方の映像に重なり後方が見えます。聴覚情報と前方後方の映像情報が同時に入ることで、日常生活では味わえない何とも不思議な状態に陥ります。聴覚がどれだけ必要なものかを感じることのできる作品で、例えば、前方の情報を壁にし後方を遠方で話したい人の映像が入ることで目の前にあたかもいるような気持ちにもなります。活用としては医療関連、特にリハビリにも活用できそうです!個人的には新感覚の「鬼ごっこ」で遊べれんじゃないかと思います。
「TECHTILE(テクタイル)」。映像を手元で体験できる触感作品。テニスラケットにボールが当たる映像が流れていて、手元にあるラケットを握るとあたかも手元でボールを打つ感覚を体験することが出来ます。映像の出力をインプットするだけでなく、紙カップにビー玉が入ると、紙カップにあたかもビー玉が入った感覚を体験することが出来ます。TECHTILE映像をご参照ください。この触感手法は新しい学びにつながる気がします。開発者曰く、この開発の特徴は世の中にあるものを組み合わせて作っているという。(外見の白味のパッケージはオリジナル)その組み合わせるのが面白い!これも医療系への応用が可能で汎用性が高いと感じました。
「virtual hammock(バーチャルハンモック)」。世の中にある「揺れ」を体験できる作品。睡眠をテーマとしハンモックを疑似的に体験できます。電気信号と音を使い周波数を調整し「揺れ」を作っているようです。出力によっては痛くもあり気持ち悪くもなります。人生を平均すると1/3は睡眠。睡眠のメカニズムは未知の研究ともいえ、ここにメディアアートが挑戦することはとても興味があります。製品化になった日には必ず買いたいと思います。(手塚君が寝ている写真を使いました)
この他にも多数たくさん作品が展示されていたり
こんなのも展示されていたり
そして素敵なプレゼンテーションをしたりと・・・。(画像自粛・・・。掲載したいですが。。。)
学生や研究者を含めた参加者全員の自由な時間があっという間にすぎました。この空間自体がリアリティメディアであり、深夜番組のような「ゆるさ」がしなることで新しい発見や考えが生まれ次の日からも新たなプロジェクトが立ち上がり世の中に広まっていくものと思います。今回紹介しました作品はほんの一部です。このほかにも素晴らしい研究・作品がたくさんあります。いくつかサンプルをお借りしましたので、後日「理科ファン ブレスト」を福岡にて開催していきたいと思います。
【あとがき】
KMDには1年ぶりに伺うことができました。小泉さんを始め多くの方に出会えたことを感謝します。日本が豊かになることでモノは飽和状態。困ることが無くなった時こそ、使い方やモノの見方を変えて新しい価値を与える時代が訪れました。きっとこの世にあるものは形を変えてリアリティメディアとして活躍するものばかりです。新しい価値を身にまとったモノが身の回りにあることで、もっと面白い世の中が生まれることを期待します。